旅するバクの、アジアとことこ回遊記

熱帯アジアを歩く、気まぐれな旅日記です

一年の計は元旦にあり

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 今年の新しいカレンダーは、1月1日のところに「元旦」と書いてある。

 

 おや?と思って国語辞典をひくと、

「〔物皆改まって感じられる〕元日(の朝)」(『新明解国語辞典』)
とあり、どうやら "1月1日という一日" を指す用法も間違いではないらしい。

 

 すっきりしなかったので漢字辞典で調べると、「旦」の字の説明は「朝」

用例には「旦夕、旦暮/元旦、月旦(=月の最初の日)・歳旦(=元旦)」

(『デイリーコンサイス国語・漢字辞典』第二版)とある。

このあたりになるとWord の変換も厳しいので、(少なくとも現在の)日常語の範囲をはずれてくるのかもしれない。

 

 『類語大辞典』の「元旦」も「元日(の朝)」とあり、新明解の説明に近い。

『大辞泉』もほぼ同様で「元日の朝。元朝。また、元日」だ。

 

 『類語国語辞典』の「元旦」は「一年の最初の朝。元日の朝」と説明されており、「一年の計は元旦にあり」と用例がある。

 

 やっと電子版の「デジタル大辞泉」が、紙の『大辞泉』と同様の定義の後にこういう注釈を付している。

 ◆「旦」は「朝・夜明け」の意であるから、「元旦」を「元日」の意で使うのは誤り。

ただし、「元日」と同じように使う人も多い。

 

 ようやく納得。

引っかかっていたのは、1月1日の "一日" を指す用法を許容するならば、たとえば「旦夕」(朝と晩、という意味)との整合性が取れなくなる、というただその一点だったのだけれど。

 

 出だしから辞書遊びを始めてしまった今年は、やはりまたそういう一年になるのだろうか。

机の上に広げた辞書を片づけながら、ちらりとそんな思いがかすめた。

 

 

・『新明解国語辞典』第三版、三省堂、1988年。

・『デイリーコンサイス国語・漢字辞典』第二版、三省堂、1995年。

・『類語大辞典』講談社、2002年。

・『大辞泉』小学館、1995年。

・『類語国語辞典』(第八版)角川書店、1994年。